Mr.HOBO
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
秘湯とヘビと老犬と
 M温泉という秘湯がある。露天風呂が混浴という古い温泉だ。
ぼくは正直、この温泉は好きではない。いくら秘湯でもヘビがでる
温泉はこわいのだ。
 山の奥ふかいところに静かにたたずむ秘湯。足寄町のM温泉と書いて
おく。帯広のよく行くメガネ屋の店長に「M温泉は秘湯ですよ~」と
すすめられ、きのうついに行ってきた。秘湯だった。
老犬が入り口のところで入浴券を売っていた。そんなわけない。
「それは19歳のうちの番犬にならない番犬ですよ」と、秘湯の主人は
笑った。ぼくは古い建物はキライではなくむしろ好きなのだが、匂いに
はちとうるさい。戌年だからだ。ぼくの鼻は汗の匂いにはぴくぴく反応
し、床に敷いてあるマットがクサいと絶対ペケなのですわ、ほんま。
水虫の菌がうようよいるということだから秘湯でもなんでもペケなの
ですわ。
 湯船は小さいのがふたつ、銭湯より小さい。でもこれはべつに良しと
した。洗い場まで勢いよくあふれ出る湯はとてもやさしく、かけ流しの
温泉独特の清潔感はある。温度もちょうどいい。専門的なことはわから
ないが、ん~、いい湯だな。
 風呂場から窓の外に眼をやるとまあるい露天風呂があった。ここの
露天風呂は混浴だとメガネの店長からきいていたので「はは~、これか」
ってな感じで外にでてみた。けっこう大きい露天風呂で、まわりを見渡
すと川が見え、女風呂のほうに眼をやると、「のぞき禁止」と書いた
看板がある。その横に「のぞきは軽犯罪です!」などと。ということはの
ぞきがいるということなのだ。なんかへんなの、と思いながら湯につかっ
ていると、女風呂のほうから琴光喜のような顔をした太ったおばさんが
入ってきた。ふぅ~とかあはぁ~とか言いながら頭にタオルをのせコブラ
のように平たいおっぱいを隠そうともしない。このおばさんは野球賭博
をしているのだろうか?琴光喜はちらちらぼくのほうを見てニヤっと笑
った。お歯黒のような歯をした琴光喜だった。おばさんは少し離れた木
のほうを指差し、「あれ、何だと思う?」とぼくにきいた。「えっ?」
と、ぼくはその木のほうをみると木の枝になにか黒いロープのようなもの
がぶら下がっていた。おばさんはなにくわぬ顔で、「ヘビだよ、ヘビ」
と言う。げっ!とぼくは露天風呂の石につまづきながら中にいそいで
戻っていった。冗談じゃねえ!ヘビは大嫌いだ!外をみると琴光喜は
こっちを見て笑っている。お歯黒のような茶色い歯をみせて、はぐきも。

 汗臭いマットをかかとだけで歩いてぼくは急いで車に乗った。老犬は
きょとんとした眼をして、「またおいでやす~」と言った。んなわけない。

秘湯とヘビと老犬と。

 ぼくは二度とここにくることはないだろう。



HOBO
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。